北陸(石川県・富山県・福井県)の自然や観光に関する情報を発信!取材の裏話からマニアックネタまで、自然人のスタッフがつづるブログ
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村本さん1
飛来したトキの写真をうれしそうに眺める村本さん。羽咋市のご自宅にて


今年5月27日、羽咋市にある眉丈山近くの水田に、トキが飛来しました。眉丈山は本州最後のトキの生息地で、1969年に最後の1羽が確認されて以来、じつに44年ぶりの飛来となります。
七尾市での世界農業遺産国際会議の開幕を2日後に控えたこの日、タイミングよく飛来したのは、富山県黒部市に住みついていたメスのトキで、その後も眉丈山にほど近い邑知潟周辺で餌を採る姿が目撃されていることから、引き続きこのあたりに滞在しているものと思われます。

眉丈山のふもと羽咋市上中山町に住み、長年トキの保護に尽力してきたNPO法人日本中国朱鷺保護協会名誉会長の村本義雄さん(88歳)に話を聞くと、村本さんは、飛来したトキがこのまま邑知潟周辺に住みつくのではないかとみて、観察を続けるとともに、早速いろいろな保護活動をはじめていました。(村本さんは、7月27日、29日にも邑知潟でトキの姿を確認しています)

村本さんが、まずやらなければならないと感じているのは、農家の方に協力を仰ぎ「トキを守る隊(仮称)」をつくって、トキが安心して暮らせるように見守ってもらうこと。監視員が巡回するのではなく、農家の方に農作業のついでに気を配ってもらい、一緒にトキを保護する体制を作っていきたいと、実現へ向けて関係機関と話し合いを進めています。
こうした取り組みは、中国のトキ生息地でなされていることで、中国では、撮影のためにトキを追いまわすカメラマンを農家の人が注意したりしているそうです。
「中国へ視察に訪れて、なるほどなぁと感心しました。羽咋市でもぜひ取り組むべきです」と村本さんは言います。

合わせて、11月の狩猟解禁に向け、トキがどこにどれぐらい滞在しているかを、餌場などを中心に調査することも必要です。11月の解禁以降もトキが居続けるようであれば、注意を促す看板を設置しなければならないし、もし滞在が数年にわたるようであれば、禁猟区を設けることも視野に入れた対策が必要だと、村本さんは考えています。こうした考えは、能登にトキがいた頃、村本さんが実際に関係機関に掛け合って禁猟区を設けた経験に基づいているのです。

「かつて、能登のトキの保護活動をしていた頃は、『田んぼの苗を踏み荒らす害鳥を守れとはどういうことか! 傷んだ苗のぶんは誰が補償してくれるのか』と怒鳴りこまれたこともありました。禁猟区を設けるときは、『この銃口がお前の方を向くぞ』と脅されたこともありました。でもそれは戦後の食糧難の頃のことで、時代は変わりました。トキだけでなく、人間を含むすべての生き物が共生できる環境を作ることの大切さを、多くの人に理解してもらいたいのです」(村本さん)

さらに、これらの活動と並行して、村本さんは保育所や小学校へのトキの講演にも出向いています。これは、子供たちの心に、トキをはじめとする生き物と共生する心を育みたいと、村本さんが長年続けていることのひとつです。
いずれ大人になった子供たちの中から、トキの保護に真剣に取り組んでくれる子が出てくるかもしれない。自然保護のリーダーとなって指導してくれる子が出てくるかもしれない。そんな思いから、依頼のあった各地の保育所へボランティアで出かけています。今回の飛来でも、5月にトキが最初に飛来した無農薬田の持ち主の男性は、「村本さん、私、子供の頃に、最後の1羽になったトキを望遠鏡で見たことがあるよ!」と話してくれたそうです。その体験は、後に男性が無農薬での米作りを始めたことと無関係ではないでしょう。
長い年月を経て、村本さんの活動が、いろいろなところで実を結んでいます。その事実に後押しされて、村本さんはこの日も、さっそうと保育所での講演へ出かけていきました。


お気に入り
今回飛来したトキの写真の中から、村本さんにお気に入りの一枚を選んでもらいました。「トキとカラスは仲が悪いといわれますが、そうでもないですよ」と村本さん


Toki表紙
能登にトキがいた頃の貴重な生態記録は、村本義雄さん著『能登のトキ物語』にまとめられています。本州最後の日本産トキ「能里」の鳴き声CD付き。お求めは、こちらまで。
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(山本 2013年7月31日取材)
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