北陸(石川県・富山県・福井県)の自然や観光に関する情報を発信!取材の裏話からマニアックネタまで、自然人のスタッフがつづるブログ
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自然人Facebookページで連載した「北陸各地の野で見られる春の花図鑑」を、一部追加・再編集してこちらにアーカイブしておきます。

ニリンソウ2

その前にこの連載を始めたわけを少々。

以前ある方から、「野に咲く花の名前を知ってどうするの?」と言われたことがあります。
「名前を知るとそれだけで満足してしまい、それ以上の関心を持たなくなる」と言われましたが、私はどうも違和感を覚えました。
仲良くなりたければ名前を名乗りあう友達作りと一緒で、相手の名前を知ることは興味を深める第一歩ではないでしょうか?
そう思って、名前を一生懸命覚えるようにしていますが、これが舌をかみそうなものが多くて、なかなか覚えられません。
しかも、自然界の植物は多種多様で、その名前を知る(同定する)ことはとっても難しいんですよね。

ここでは、『自然人』春号で専門家に同定していただいたものなど、確信の持てるものを中心に、いくつかアップしていこうと思います。
私のレベルは初心者ですので、これから花の名前を覚えていきたいという方には少しは参考になるかと思います。そして、自然の花への興味を深めていただければ嬉しいです。



キンキエンゴサク【近畿延胡索】

キンキエンゴサク2

エンゴサクはキケマン属の多年草で、スプリング エフェメラル(春植物)と呼ばれるものです。石川県では主に4種類が見られるそうですが、一番多く見られるのが、このキンキエンゴサクだそうです。
野山の湿った林内などに生育し、淡紫色や青紫色した筒状の細長い花をつけます。ちょっと注意してみるとすぐに見つけることができます。
花の見ごろはカタクリやソメイヨシノと同じころです。
※エンゴサクの見分け方につきましては、Webページ『石川の植物』が参考になります。


タムシバ【田虫葉】

タムシバ1

ミズバショウが咲くころと同時期に、日本海側の山地に多く見られます。白い大きな花が咲き、木々の芽吹き始めた頃なので、遠くからでも目につきます。モクレン科モクレン亜科モクレン属で別名「ニオイコブシ」とも呼ばれるようによい香りが特徴です。
里山など標高の低いところで見られる、同じモクレン属のコブシの花とタムシバの花はよく似ていて間違われることもあります。
その見分け方は下記のサイトに詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください。
「ハナシはタムシバ」と覚えるといいかも(笑)。
角間の里山自然学校


ニリンソウ【二輪草】

ニリンソウ1

キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。キンキエンゴサクと同様に「スプリング・エフェメラル」のひとつで、白い可憐な花をつけます。花が2つ寄り添って咲く姿からこの名前が付きましたが、1個や3個咲かせるものもあります。
山地や竹林、土手などで見られ、花の時期は4~5月です。
『やまんば能登を喰らう』(橋本確文堂刊)によると、毒草が多いキンポウゲ科ですが、ニリンソウは食べられるそうです。ただし、よく似たものに毒のあるイチリンソウや、猛毒のトリカブトもありますので、私のような知識が少ない人は、そっと眺めて儚い春のひと時を楽しみましょう。


ハマダイコン【浜大根】

ハマダイコン2

その名の通り、海辺に自生する大根の仲間です。ただ、最近では、内陸部の日当たりのいい河川敷や法面などでもよく見かけます。
淡い紫色から白色の花を総状花序にたくさんつけます。浜辺で一面に咲いた景色は、青い海とのコントラストも見事で実に美しいと思いますが、なぜかあまり話題になりません。
大根もちゃんとできますが、栽培されている大根と比べるとかなり硬く、辛味も強いそうです。
ハマダイコンは、栽培種が野生化した種と考えられていましたが、最近の遺伝的研究によれば、栽培種とは全く別の系統に属す可能性が高く、もっと古い時代にもともとの原産地である地中海沿岸から中国を経由して人間の移動と共に入ってきた野生ダイコンが根づいたとする説が唱えられているそうです。みたらし団子のように連なった果実も愛らしい。
見ごろは4月~6月頃。大体、菜の花と同じころではないでしょうか。


キクザキイチゲ【菊咲一華】

キクザキイチゲ

キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、白や淡い紫色の花をつけます。キンキエンゴサクやニリンソウと同じ、スプリングエフェメラルのひとつ。
北陸では山地の木陰などでよく見られますが、全国では絶滅危惧種に指定されている県もあります。
花言葉は「静かな瞳」で、確かに春の里山を歩いていて、この花に出あうと、そっと見つめられているようでハッとすることがあります。
花の見ごろはカタクリやニリンソウなどとだいたい同じでしょうか。頭上の木々の葉っぱが繁るころには地上の活動を終えます。
よく似た種類にアズマイチゲがあり、葉っぱの切れ込みなどで区別ができるそうです。


トクワカソウ【徳若草】

トクワカソウ1

イワウメ科イワウチワ属。ミズバショウが咲くころに、日本海側の山地の半影地などで多く見られます。春を待ちわびて山に繰り出したハイカーたちの目を楽しませてくれる人気の花です。
花径は3cmほどで淡紅色(まれに白花もある)を一つずつつけます。
非常によく似た花にイワウチワ【岩団扇】があります。花だけではほとんど区別かつかず、葉っぱに少し差異があるそうですが、私にはよくわかりません(笑)。
トクワカソウをイワウチワの別名とすることがありますが、これは間違いで、トクワカソウはイワウチワの変種だそうです。
ちなみに、詳しい先生に聞いたら、「石川県加賀地方の山間地にはまずトクワカソウしかない」と言うことで、大嵐山で撮影したこの花はトクワカソウで間違いないかと。


シャガ【射干】

シャガ1

人家の近くの里山の木陰など、やや湿ったところに群生しているシャガ。アヤメ科アヤメ属の多年草で、4月中旬から5月に咲きます。
この時期に、スギ林などの近くを散歩していると、よく見かけますが、花は短命で1日でしぼんでしまうそうです。
どことなく、日本離れした東洋的な雰囲気の花だなと思っていましたが、中国原産でかなり古くに日本に入ってきた帰化植物なのだそうです。
ふだんから里山などの身近な自然に関心をお持ちの方には、ごく見慣れた花だと思いますが、里山に入る機会が少ない人にとっては、お花屋さんで売ってそうなエレガントな花が野生で咲き乱れている光景に、少なからず衝撃を受けることでしょう。


オオミスミソウ【大三角草】

オオミスミソウ2

キンポウゲ科 ミスミソウ属。雪割草と呼ばれるもののひとつ。
日本に自生する雪割草は、オオミスミソウのほか、ミスミソウ、スハマソウ、ケスハマソウの4種があるそうです。有名な雪割草の群生地・猿山岬(石川県輪島市)ではオオミスミソウとミスミソウが見られます。
オオミスミソウは、花径は2センチくらいあってミスミソウよりも大きく、一見花のように見える「がく片」の形などで2種は見分けられるそうですが、猿山岬では交雑種も多く、判別は難しいといいます。「がく片」の枚数は6枚が多いようですが、5~8枚とさまざまで、色も白や桃色、紫、ぼかしなど、同じ種類でも実に多彩です。
猿山岬の花期は3月下旬です。


ミズバショウ【水芭蕉】

ミズバショウ

サトイモ科ミズバショウ属の多年草。春の湿原に可憐な花を咲かせる、北陸でも人気の植物ですが、昨今はイノシシの食害によって壊滅的な被害をこうむっている群生地もあります。北陸では標高の低いところでも群生している場所があり、その標高差によって花期はまちまちだが、多くは4月に見ごろを迎えます。(取立山のミズバショウ/写真提供:福井県観光連盟)


カタクリ【片栗】

カタクリ2

ユリ科カタクリ属の多年草。スプリング・エフェメラルの代表的な花で、万葉集にも登場します。北陸三県各地の里山で見ることができ、同じく、スプリング・エフェメラルの蝶、ギフチョウが舞う群生地では、カタクリの花にたかるギフチョウのツーショットが見られることも。花期は大体ソメイヨシノと同じくらいです。

(バフ)

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